特徴
当科では、患者さんが安心して治療に専念できるよう、以下の3つの特徴を大切にしています。
- 三重県の中核を担う、数少ないリウマチ・膠原病の専門診療科
リウマチ・膠原病を専門に掲げる診療科は、三重県内だけでなく近隣地方でも限られています。当科は、三重県の患者さんはもちろん、近隣の地方にお住まいの方々にとっても、質の高い専門医療を提供する中核的な拠点となることを目指し、2025年7月に新設されました。複数の専門医が在籍するチームとして、診断から最新治療まで一貫して対応いたします。 - 大学病院とも連携した、質の高いチーム医療
当科の強みは、経験豊富な専門医たちがチームで患者さんを支える体制にあります。診断や管理が難しい症例については、チーム内で多角的に検討するだけでなく、三重大学医学部附属病院とも密に連携し、常に質の高い医療を提供できる環境を整えています。 - 最新の知見に基づいた、一人ひとりに最適な治療
リウマチ・膠原病分野の治療は、生物学的製剤やJAK阻害薬といった分子標的治療薬の登場により、目覚ましく進歩しています。私たちは常に最新の知見を取り入れ、数多くの治療選択肢の中から、患者さん一人ひとりの病状やライフスタイルに合った治療法を、一緒に考えていきます。
代表的な疾患・治療
当科では、リウマチ・膠原病に関連する様々な疾患の診断と治療を行っています。以下に挙げる病名や症状に心当たりがある方は、お気軽にご相談ください。
対象となる主な疾患
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性筋疾患(多発性筋炎・皮膚筋炎)、全身性血管炎(ANCA関連血管炎、巨細胞性動脈炎、高安動脈炎)、シェーグレン病(症候群)、全身性硬化(強皮)症、ベーチェット病、リウマチ性多発筋痛症、成人スティル病 など
このような症状はご相談ください
長引く原因不明の発熱 、関節の痛みや腫れ、朝のこわばり、筋肉の痛みや力が入りにくい(筋力低下) 、レイノー現象(寒さで指先が白や紫色になる)、原因不明の皮疹、目や口の乾き(ドライアイ・ドライマウス)
疾患別案内
関節リウマチは、免疫の異常によって主に関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、こわばりが生じる病気です。進行すると骨や軟骨が破壊されて関節が変形してしまったり、関節以外の臓器に障害を起こしてしまうこともあるため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。
原因 | 体を守る「免疫」システムが誤作動を起こし、自分自身の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。明確な原因は不明ですが、遺伝的な要因や喫煙、歯周病といった環境的要因が関わると考えられています。 |
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症状 | ・複数の関節(特に手指、手首、足指)の痛みや腫れ ・朝起きた時の手足の動かしにくさ(朝のこわばり) ・進行すると肘、膝、肩など全身の関節への広がり ・微熱、倦怠感、食欲不振などの全身症状 |
検査・診断 | 症状や身体診察に加えて、血液検査(炎症反応、自己抗体)や画像検査(レントゲン、関節エコー)などを組み合わせて総合的に診断します。 |
治療 | 治療の目標は、炎症を完全に抑え、関節破壊の進行を止めて「寛解(かんかい)」という状態を維持することです。メトトレキサートなどの抗リウマチ薬を基本とし、近年は「生物学的製剤」や「JAK阻害薬」といった分子標的治療薬により、高い治療効果が期待できます。 |
英語名の頭文字をとって「SLE」とも呼ばれる、国が指定する難病の一つです。20~40代の女性に多く発症し、皮膚、関節、内臓など全身に多彩な症状が現れる自己免疫疾患です。
原因 | 免疫システムが誤って、自分自身の細胞の様々な成分を攻撃してしまうことで発症します。根本的な原因は不明ですが、遺伝的な素因に、紫外線やウイルス感染などが加わることがきっかけと考えられています。 |
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症状 | ・発熱、全身倦怠感、関節痛 ・頬にできる蝶のような赤い発疹(蝶形紅斑) ・日光に当たると悪化する皮疹(光線過敏症) ・繰り返す口内炎、脱毛 ・腎臓の障害(ループス腎炎)、中枢神経症状など |
検査・診断 | 症状や診察所見に加え、血液検査(抗核抗体などの自己抗体、補体価)や尿検査などを組み合わせて総合的に診断します。 |
治療 | 治療の目標は、病気の活動性を抑え、重要な臓器の障害を防ぐことです。ステロイド、免疫抑制薬、ヒドロキシクロロキンを病状に合わせて使い分けます。近年は新しい分子標的薬も登場し、治療選択の幅が広がっています。 |
血管炎は、全身の血管に炎症が起こる病気の総称です。血管の炎症は、その先の臓器への血流を悪くしたり(虚血)、血管を脆くして出血させたりして、様々な症状を引き起こします。
原因 | 多くは免疫システムが誤って自分自身の血管を攻撃してしまうことで発症しますが、はっきりとした原因は不明です。 |
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症状 | 侵される血管の場所や太さによって、症状は非常に多彩です。 ・全身症状: 原因不明の発熱、体重減少、全身倦怠感 ・皮膚: 紫色の点状出血(紫斑)、治りにくい皮膚の潰瘍 ・腎臓: 血尿・蛋白尿(検尿異常)、腎機能の低下 ・神経: 手足のしびれや麻痺(多発単神経炎) ・その他: 関節痛、筋肉痛、急な視力低下など |
検査・診断 | 症状や診察所見に加え、血液検査(ANCAなどの自己抗体)、尿検査、画像検査(CTやPET-CTなど)、そして時には組織生検(皮膚や腎臓など)を組み合わせて診断します。 |
治療 | 治療の目標は、免疫の活動を強力に抑え、血管の炎症を鎮め、臓器障害の進行を防ぐことです。グルココルチコイド(ステロイド)と免疫抑制薬が治療の中心ですが、近年は新しい分子標的薬も登場し、治療成績が向上しています。 |
炎症性筋疾患は、免疫の異常によって筋肉に炎症が起こり、筋力が低下してしまう病気の総称です。特徴的な皮疹を伴うものを「皮膚筋炎」、伴わないものを「多発性筋炎」と呼びます。
原因 | 自己免疫疾患の一つですが、なぜ筋肉が攻撃の標的になるのか、詳しい原因はまだわかっていません。悪性腫瘍(がん)が隠れていることもあります。 |
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症状 | ・腕が上がりにくい、階段が辛い、といった腕や太ももの筋力低下 ・飲み込みにくさ(嚥下障害)、息切れ・空咳(間質性肺炎) ・【皮膚筋炎の場合】上まぶたの腫れぼったい紫色の発疹(ヘリオトロープ疹)、手の甲の赤い丘疹(ゴットロン丘疹) |
検査・診断 | 症状や診察所見に加え、血液検査(CKなどの筋逸脱酵素、自己抗体)、筋電図検査、MRI、筋生検などを組み合わせて総合的に診断します。 |
治療 | 治療の目標は、筋肉の炎症を抑えて筋力を回復させ、日常生活に支障がない状態を維持することです。ステロイドと免疫抑制薬が治療の中心となり、リハビリテーションも非常に重要です。 |
全身性硬化症は、免疫の異常により皮膚や内臓が硬くなる(線維化)ことを特徴とする病気です。「強皮症」とも呼ばれます。皮膚の症状が目立ちますが、「全身性」という名前の通り、肺や消化管、心臓、腎臓など様々な臓器にも変化が及ぶ可能性があるため、専門医による継続的な管理が重要です。
原因 | 免疫の異常、血管の障害、線維化(コラーゲンなどの線維組織を過剰産生)の3つが複雑に関わり合って発症すると考えられていますが、根本的な原因はまだわかっていません。 |
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症状 | ・レイノー現象(寒さで指先が白や紫色になる) ・指先の腫れ、そして次第に進む皮膚の硬化 ・胸やけ(逆流性食道炎)などの消化器症状 ・空咳や息切れ(間質性肺炎、肺高血圧症) |
検査・診断 | 症状や診察所見に加え、血液検査(特異的な自己抗体)、画像検査(胸部CTなど)、呼吸機能検査、心エコーなどを組み合わせて総合的に診断します。 |
治療 | 治療の目標は、臓器障害の進行を食い止め、生活の質(QOL)を高く維持することです。血管を広げる薬、免疫を抑える薬、線維化を抑える薬などを、病状に合わせて使い分けていきます。 |
医師紹介
皆様の健康に貢献できるよう、精一杯努めます |
経歴
三重大学 リウマチ・膠原病内科医師 専門医など日本内科学科認定内科医・総合内科専門医 |
よろしくお願いいたします。 |
経歴
三重大学 リウマチ・膠原病内科 専門医など
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