当院の内科は、専門分野ごとに循環器内科、消化器内科、血液・腫瘍内科、呼吸器内科、腎臓内科、緩和ケア内科、一般内科に区分しています。

循環器内科では、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患をはじめ、不整脈、弁膜症、心筋症、心筋炎、大動脈瘤や閉塞性動脈硬化症、静脈血栓症などの血管疾患、高血圧を含む生活習慣病まで、循環器疾患全般に幅広く対応しています。また、24時間体制でオンコールを行っており、心筋梗塞や重症不整脈などの緊急性の高い疾患に対しても、迅速かつ適切な対応を行っています。近年増加している虚血性心疾患に対しては、心筋シンチグラフィーや心臓CT、心臓MRIなどの画像診断に加え、心臓カテーテル検査を活用して精密な診断を行っています。治療においては、風船による血管拡張（POBA）やステント治療（STENT）などの経皮的冠動脈形成術を中心に、急性期の対応にも力を入れています。また、慢性完全閉塞病変に対しても、手首からのカテーテル治療（経撓骨動脈アプローチ）を積極的に取り入れ、患者さんへの身体的負担を軽減しています。なお、開胸手術（開心術）は当院では行っていませんが、必要な場合は他院の心臓外科と密に連携して治療を行っています。不整脈の診断と治療にも対応しており、電気生理学的検査（EPS）や、ペースメーカーの植込み、カテーテルアブレーション（電気的焼灼術）による治療も行っています。

消化器内科では、平成30年11月に内視鏡センターを開設。消化管（食道、胃、腸）、肝臓、膵臓、胆嚢など、消化器全般にわたる診療を行っています。特に、外科、放射線科、病理部門と協力してがんの診断と治療に力を入れています。胃がん、大腸がんなどでは、治療成績の良好な早期がんの発見に努めております。早期がんで内視鏡的治療（内視鏡的粘膜下層剥離術:ＥＳＤ）が可能な患者様には、これを積極的に取り入れることで大きな外科手術が不要となり、患者様の負担の軽減が可能となっています。また、進行がんに対しても患者様とのインフォームドコンセントに基づいて、Quality of Lifeを重視した治療を行っています。

肝領域では、肝がん治療として肝動脈化学塞栓療法（ＴＡＣＥ）・マイクロ波凝固療法（ＭＷＡ）・ラジオ波焼灼療法（ＲＦＡ）・化学療法、また急性肝障害（肝炎）の診断治療に力を入れています。胆膵領域においては、胆膵悪性疾患の早期発見と良性疾患に対する診断および安全な内視鏡治療にも力を入れております。

血液・腫瘍内科では、急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、特発性血小板減少性紫斑病、骨髄増殖腫瘍、慢性白血病、再生不良性貧血、乳がん等の固形がんなどに対応しています。７床の簡易無菌治療室、２床の完全無菌治療室を有する化学療法専用病棟を完備し、血液疾患全般、血液がんや乳がんを中心とした固型がんの化学療法および自家造血細胞移植を行っています。

呼吸器内科では、肺がん、慢性閉塞性肺疾患（COPD）、気管支喘息、呼吸器感染症、間質性肺炎等の診療を行っております。当院では、呼吸器外科と統合した呼吸器センターとして、肺がんの診断・治療を積極的に行っており、術後や手術不能症例に対し、抗がん剤投与を行いつつ、緩和的放射線療法を併施することで、少しでも呼吸困難、嚥下困難等の苦痛の緩和に努めております。昨今、嚥下機能が低下した方々の誤嚥性肺炎の症例を多々認めている中で、当院では地域連携パスを導入して後方支援病院との協力体制も確保して治療に当たっております。

腎臓内科では、初期の検尿異常から末期腎不全、透析療法まで腎臓病のあらゆる段階を診療対象としています。検尿異常、尿路感染症、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、CKD、多発性嚢胞腎、血液透析導入、シャント作成、長期透析の合併症などに対応しています。現在は、腹膜透析の導入に向けて取り組んでおります。

眼科では、白内障、糖尿病性増殖性網膜症、緑内障、網膜剥離などの眼科疾患に対応しています。特に白内障の患者数が最も多く、糖尿病性網膜症に対する硝子体手術や緑内障手術、網膜剥離手術、斜視手術などにも対応しています。眼科の手術実績件数については、「診療科別主要手術別患者数等（診療科別患者数上位５位まで）」をご参照ください。

外科では、鼠径ヘルニア、胆嚢疾患、結腸がんの症例が多くなっております。全消化管疾患の手術、悪性疾患を中心とした肝臓、胆道そして膵臓の手術、乳がんを主体とした乳腺外科手術に加え、救急外来では外傷手術を中心に、広範囲な病態に対応しています。消化管疾患に関しては、本邦の治療ガイドラインに沿った安全最優先とした上での腹腔鏡下手術を、肝胆膵手術では移植手術以外のすべてを、乳腺疾患は病理医、放射線科、腫瘍内科と共にチーム連携加療を行っています。また、がん診療拠点病院として高難度手術や化学療法など高度な医療の提供を行っています。

整形外科では、高齢者の脆弱性骨折による股関節・大腿骨近位部骨折の患者が最も多く、次いで前腕骨折、胸椎、腰椎以下骨折損傷、肩関節周辺の骨折等の外傷の症例が多くなっており、その他の症例として、筋・腱・神経の断裂や四肢の挫滅があります。また、高度に破壊された動揺性を有する関節、変形の強い関節などに対しても積極的に手術を行っています。大腿骨近位部の骨折の患者様に対しては、入院中から退院後まで院内の他職種で連携した取り組みを行っており、リハビリテーションについては地域の他病院とも連携し、地域ぐるみでの治療を目指してカンファレンスなども行っています。

泌尿器科では、排尿障害、尿路感染症、膀胱がん、腎がん、腎盂尿管がん、精巣がん、前立腺がん、尿路結石・腎結石症、前立腺肥大症などの泌尿器科疾患に対応しています。特に、膀胱がんの手術、前立腺がんの診断のための生検の症例が多くなっております。がんに対しては抗がん剤を使用した化学療法や、放射線療法も行っています。

脳神経内科では、脳血管障害（脳梗塞、脳出血）、パーキンソン病、アルツハイマー病などの認知症、髄膜炎、脳炎、脊髄炎、ギランバレー症候群などの末梢神経疾患、筋疾患（筋炎、筋ジストロフィーなど）、めまい、てんかん性疾患などが対象になります。患者数は脳梗塞が最も多く、t-PA治療やその他薬物療法を行っています。次いで、てんかん、めまいとなっています。当科では、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士による早期リハビリテーションを通じて、早期退院やリハビリテーション病院への早期転院を図っています。また、認知症については、認知症ケアチームを設置しており、認知症ケアの活動を積極的に行っています。

脳神経外科では、脳卒中（くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞）を主な対象として、頭部外傷、脳腫瘍、脊椎疾患などの脳神経外科疾患全般に対して治療を行っています。患者数では、慢性硬膜下血腫が最も多く、次いで頭蓋内損傷、頭蓋内血腫となっています。手術治療としては、脳動脈瘤手術（開頭クリッピング術、コイル塞栓術）、脳腫瘍摘出術、脳虚血関連手術、脊髄・脊椎手術を行っており、脳血管障害に関しては、血管内治療を積極的に行っています。また、薬物療法、放射線療法、リハビリテーションなど病状に応じた治療を行っています。

呼吸器外科では、肺臓、気管、気管支、胸壁、横隔膜、縦隔の疾患に対し積極的に対応しています。肺がんをはじめとする肺の悪性腫瘍や縦隔の腫瘍や気胸や炎症疾患の診断と治療を行っています。特に肺がんの手術件数が多く、小開胸＋胸腔鏡併用下に肋骨・筋肉を切らずに行う胸腔鏡補助下手術と呼ばれる方法で行っています。小型の肺がんには完全胸腔鏡手術で部分切除を行うこともあります。さらに、より多くの肺を残せるように区域切除も積極的に行っています。気胸に対しても、手術が必要な場合には胸腔鏡手術を行っています。当院では呼吸器内科と統合した呼吸器センターとして、がんの診断・治療を積極的に行っており、術前、術後の抗がん剤治療等において、内科医との速やかな連携をとりつつ診療を行っております。

耳鼻咽喉科では、耳、鼻、咽喉頭の異常、甲状腺、唾液腺、頸部リンパ節、頸部嚢胞等の頸部腫瘤や炎症、いびきや睡眠時無呼吸症候群、めまい、顔面神経麻痺、嚥下障害など積極的に対応しております。

小児科領域全般の入院は、地域の開業医からの紹介と救急搬送による来院がほとんどであり、地域の二次病院としての役割を果たしています。より高度な診療が必要な場合は、大学病院等、他医療機関と連携し、診療しています。

※患者数が10件未満のDPCコードは、｢DPCコード｣｢DPC名称｣｢平均在院日数（全国）｣以外の項目を「-」にて表記

循環器内科で最も多く行われている治療は、狭心症や心筋梗塞に対する「冠動脈インターベンション（PCI）」です。PCIとは、冠動脈（心臓を栄養する血管）が動脈硬化などによって狭くなったり閉塞したりした部分を、血管内から治療するカテーテル手技です。治療では、手首や脚の付け根の血管から「カテーテル」と呼ばれる細い管を挿入し、狭くなった冠動脈まで進めます。狭窄部位をバルーン（風船）で内側から拡張し、その後「ステント」と呼ばれる金属の筒を留置して、再び血管が狭くならないようにします。身体への負担が比較的少なく、急性心筋梗塞の緊急治療から、狭心症の計画的治療まで広く行われており、当科でも最も多い治療手技の一つです。また、不整脈の治療として行う「経皮的カテーテル心筋焼灼術（カテーテルアブレーション）」も重要な治療の一つです。これは、異常な電気信号を発生させている心筋の一部を、カテーテル先端からの高周波電流で焼灼し、不整脈の原因を取り除く治療です。

消化器内科で最も多い手術は、胆管結石や胆嚢、胆管の悪性腫瘍に対する内視鏡手術（内視鏡的胆道ステント留置術（EBS）等）です。内視鏡を十二指腸まで挿入し、胆管・膵管の出口にあたる十二指腸乳頭部を電気メスを用いて切開し、バスケットやバルーンを挿入して結石を除去したり、ドレナージチューブやステントを留置し狭窄や黄疸を軽減します。また、胃・十二指腸がん、大腸がん、食道がんの早期悪性腫瘍に対して、粘膜下層まで剥離し病変を一括切除するESD（内視鏡的粘膜下層剥離術）も積極的に行っております。また化学療法の薬剤を注入する、皮下ポートを設置する手術も多数行っております。

当科で最も多い手術は、白内障に対する水晶体再建術です。白内障関連手術(水晶体再建術、縫着レンズ挿入 等）の実績は令和６年度1,192件です。また、糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑上膜、黄斑円孔などの網膜硝子体疾患に対しては、硝子体手術を提供しています。網膜硝子体関連手術の実績は、令和６年度81件です。眼内レンズ脱臼に対しては、強膜内固定術にて対応しています。緑内障に対しては、白内障手術との併施、あるいは単独でのμフックロトミーを行っています。緑内障手術実績は、令和６年度24件です。さらに、斜視手術、内反症手術、眼瞼下垂手術を年間それぞれ40～50件程度実施しており、その他の各種外来手術にも対応しています。全ての手術において、質の高い医療の提供を心がけています。

※患者数は、主たる手術のみが集計対象となっています。このため、２つ以上の手術を実施していても１つと数えている都合上、実際の手術実績よりも少なく表記されています。

※患者数が10件未満のKコードは、「Kコード」「名称」以外の項目を「-」にて表記

外科で最も多い手術は、腹腔鏡下胆嚢摘出術で、次いで腹腔鏡下ヘルニア手術、腹腔鏡下虫垂切除術となっています。成人の全消化管疾患（食道から肛門まで）の手術、悪性疾患を中心とした肝臓、胆道そして膵臓の手術、乳がんを主体とした乳腺外科手術に加え、救急外来では外傷手術を中心に、広範囲な病態に対応しています。消化管疾患に関しては、本邦の治療ガイドラインに沿った安全最優先とした上での腹腔鏡下手術を、肝胆膵手術では移植手術以外のすべてを、乳腺疾患は病理医、放射線科、腫瘍内科と共にチーム連携加療を行っています。また、がん診療連携拠点病院として、肝臓がん、膵がんに対する高難度手術をはじめとした質の高いがん医療を提供しています。

整形外科では、骨折観血的手術、人工骨頭挿入術、人工関節置換術が上位を占めています。高度に破壊され動揺性を有する関節、変形の強い関節などに対しても、積極的に手術を行い、良好な結果を得ています。人工関節手術に際しては自己血輸血を用いており（他人からの輸血を行わない）、輸血後の感染症の予防に努めております。その他のリウマチによる関節変形に対しても、関節形成術など多種の手術を取り入れています。

膀胱の悪性腫瘍手術が最も多くなっています。膀胱腫瘍等の診断のための膀胱鏡システムにて鮮明な画像を得られるとともに、がんの早期発見にも繋がります。膀胱腫瘍は手術適応となるケースが多く、尿道から膀胱に内視鏡を挿入し、その先端に付いている電気メスで膀胱内の腫瘍を切除します。また、腎がんに対しては腎摘除術、腎部分切除術、腎盂尿管腫瘍に対しては腎尿管全摘除術、精巣がんに対しては高位精巣摘除術、尿路結石・腎結石症に対する経尿道的尿路結石除去術（レーザーによるもの）、前立腺肥大症には経尿道的前立腺切除術を行っています。

脳神経外科で最も多い手術は、｢慢性硬膜下血腫｣に対する手術です。慢性硬膜下血腫は、頭部外傷を負って1～2ヶ月後に、歩行障害や認知症、片麻痺等の症状が起こる病気で、多くが緊急手術を必要とします。治療は、局所麻酔下に穿頭術（頭に穴をあける）を施行し、血腫内容を洗浄除去する手術です。次いで多いのは脳血管疾患の中でも重篤である｢くも膜下出血｣の治療や、そのくも膜下出血を未然に防ぐ予防治療として、脳血管内手術や脳動脈瘤クリッピング術を行っています。くも膜下出血は、頭蓋骨と脳の間にある｢くも膜｣の下に血液が流れ込む病気で、発症すると約3分の1が死に至ると言われています。そのため当院では、脳動脈の一部が膨らんで瘤状になった状態の｢未破裂脳動脈瘤｣に対する予防治療として、脳血管内手術やクリッピング術を積極的に行っています。脳血管内手術は、主に金属コイル、接着剤などを使って脳動脈瘤などの病変部を閉塞し出血を予防する手術です。また、狭くなった血管を拡げて血液の流れを改善させ脳梗塞を防ぐ手術にも用いられます。3番目に多いのは経皮的脳血栓回収術です。脳血管を塞栓下血栓を、経皮経血管的に脳塞栓回収器を用いて機械的に除去します。脳血管障害（脳梗塞、脳出血）に対して、地域の他病院とも連携し、地域ぐるみでの治療を目指して、早期転院やリハビリテーション病院への早期転院を図り、カンファレンスなども行っております。

呼吸器外科では、悪性腫瘍手術が多くを占めています。胸腔鏡下（VATS）という最新の医療技術の採用により、内視鏡や患部摘出に必要な特殊な器具を入れるわずか数cmの切開だけで済むため、痛みも少なく患者様の負担もかなり軽減されます。さらに、患部摘出の際に、健康体になったことを考慮して、必要以上に肺葉を切除しない胸腔鏡下区域切除を行うなど、常に｢患者さまにやさしい｣を意識した治療を行っております。肺がんの手術には高度な技術と経験が必要とされるため、呼吸器外科の専門医を揃え万全の体制で患者様を受け入れています。また、当院は呼吸器センターとして、呼吸器外科と呼吸器内科が連携し診療を行っています。

耳鼻咽喉科では、炎症性疾患、良性腫瘍、低悪性度悪性腫瘍等に対する手術を実施しています。手術件数としては、電気メスを用いた扁桃手術（口蓋扁桃摘出術、アデノイド切除術等）、副鼻腔炎や鼻中隔彎曲症、アレルギー性鼻炎に対する内視鏡手術が多くを占めています。最先端の器具や手法を取り入れた質の高い手術を提供しています。

※患者数が10件未満のKコードは、「Kコード」「名称」以外の項目を「-」にて表記