平成27年度 鈴鹿中央 病院指標

当院は、循環器内科において虚血性心疾患（心筋梗塞、狭心症）、不整脈、弁膜症、心筋症、心筋炎、血管疾患（大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、静脈血栓　等）、高血圧など生活習慣病を含めた循環器疾患全般、また呼吸器内科にて肺炎、好酸菌感染症、肺がん、慢性閉塞性肺疾患[ＣＯＰＤ]（慢性気管支炎、肺気腫　等）、気管支喘息、間質性肺炎などの呼吸器疾患にも積極的に対応しています。
循環器内科では、虚血性心疾患に対して血管内にカテーテルという細い管を挿入し、狭窄の程度を検査したり、血管の内側から治療を行います。カテーテル治療は開胸の必要がないため、体への負担も少なく、入院期間が短いというメリットがあります。肺炎とは、風邪の症状に加えて咳込み、胸の痛み、倦怠感、高熱、脈や呼吸が速くなるといった全身症状がでます。肺炎はほとんどが緊急入院であり、高齢者が多く全体の85.4%が60歳以上の患者さまです。
消化器内科では、悪性腫瘍が全体の34.0%を占めており、抗がん剤を使用した化学療法や早期がんに対する内視鏡下での手術など積極的に対応しています。内視鏡下での手術は、手術適応患者数全体に対し73.7%の実施率です。中でも早期悪性腫瘍に対する内視鏡手術は24.7%を占めています。また、肝臓疾患では、慢性肝炎に対しインターフェロン療法、肝臓がんに対し動脈塞栓療法（TAE）、エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法（RFA）など、あらゆる治療法を用いております。
血液・腫瘍内科では、急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群など積極的に対応しています。また、日本骨髄バンク、臍帯血移植認定施設を取得しており、臍帯血移植、非血縁者間移植にも対応しています。
腎臓内科では、急性腎不全、慢性腎不全など積極的に対応しております。人工透析におけるシャント造設や閉塞時の対応も行っております。
緩和ケア内科では、悪性腫瘍の患者さまに対し｢苦痛と感じる症状を取り除き、生活の質を上げる｣を基に緩和ケアチームが積極的に対応しています。

成人の全消化管疾患（食道から肛門まで）、悪性疾患を中心とした肝臓、胆道、膵臓、乳がんを主体とした乳腺、外傷など広範囲な病態に対し積極的に対応しています。
消化器疾患に関しては、本邦の治療ガイドラインに沿った安全最優先とした腹腔鏡下手術を50%以上に、肝胆膵手術では移植手術以外のすべてを、乳腺疾患は病理医、放射線科、腫瘍内科と共にチーム連携加療を行っています。また、三重県北勢地区のがん診療拠点病院として対象5大がん（胃、大腸、肝臓、乳房、肺）のうち、4大がん（胃、大腸、肝臓、乳房）を腫瘍内科医と共に高度医療の提供が可能となっています。

当院は、泌尿器科において排尿障害、尿路感染症、膀胱がん、腎がん、腎盂尿管がん、精巣がん、前立腺肥大症などの泌尿器科疾患に積極的に対応しています。膀胱腫瘍等の診断のための膀胱鏡システムにて鮮明な画像を得られるとともに、がんの早期発見にも繋がります。膀胱腫瘍は手術適応となるケースが多く、尿道から膀胱に内視鏡を挿入し、その先端に付いている電気メスで膀胱内の腫瘍を切除します。尿管結石とは、腎盂・腎杯で形成された結石が尿管に下降し、尿の通過障害を来した場合、疝痛発作といわれる七転八倒するほどの激しい痛みや血尿が起こります。尿管結石に対する治療は、ＥＳＷＬといわれる体外衝撃波結石破砕術という手術を施行しております。手術装置により体外で発生した衝撃波を体内の結石に収束させ破砕するものです。破砕された結石は尿とともに体外に排出され日帰り手術となっております。

当院は、人工股関節および人工膝関節置換術の症例が多く、高度に破壊された動揺性を有する関節、変形の強い関節などに対しても積極的に手術を行っています。また、リウマチによる関節変形に対しても関節形成術など多種の手術を取り入れております。近年では高齢化に伴い、骨粗鬆症の患者様が増加しております。これに対して骨塩定量検査、検体検査により早期発見し、骨強度を強め未然に骨折を予防する治療も行っております。残念ながら発生してしまった骨折に対しても、手術法の工夫により早期離床に努め、寝たきりへの進行を防いでおります。リハビリテーションについては地域の他病院とも連携し、地域ぐるみでの治療を目指してカンファレンスなども行っております。各種外傷に対しては救急指定病院でもあり多くの患者様が搬送されてきておりますが、早期社会復帰をめざし治療、リハビリテーションを行っております。

当院は、脳血管障害（脳梗塞、脳出血）、パーキンソン病、アルツハイマー病などの認知症、脳腫瘍、髄膜炎／脳炎／脊髄炎、ギランバレー症候群などの末梢神経疾患、筋疾患（筋炎、筋ジストロフィーなど）、頭痛、てんかん性疾患、変形性脊椎症などが対象になります。特に脳梗塞は、脳に酸素と栄養を運ぶ動脈が詰まり、脳への血液供給が途絶えてしまうことによって、意識障害や運動麻痺などが起こる病気です。治療としては、t-PA治療や脳血管内治療、その他薬物療法があります。てんかんは、脳の異常な興奮により、意識障害やけいれん発作などが起こる病気で、抗けいれん薬を用いて薬物療法を行います。当科では、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士による早期リハビリテーションを通じて、早期退院やリハビリテーション病院への早期転院を図っています。

当院は、脳卒中（くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞）を主な対象として、頭部外傷、脳腫瘍、脊椎疾患などの脳神経外科疾患全般に対して、脳神経外科専門医が標準的治療を行っています。最も多いDPCコードは未破裂脳動脈瘤や頭蓋内血腫です。未破裂脳動脈瘤の多くは症状をきたしません。しかし中には年々大きくなり神経の圧迫をきたしたり、また破裂してくも膜下出血をきたす場合があります。治療としては、開頭によるクリッピング手術や脳の血管の内側から本血管にコイルやバルーン・ステント等をつめる血管内手術があります。又頭蓋内血腫については、開頭による血腫除去術を行います。リハビリテーション科との連携を図り、早期リハビリテーションを積極的に行っています。

当院は、肺臓、気管、気管支、胸壁（主に肋骨）、横隔膜、縦隔（両方の肺に挟まれた心臓などのある部分）の疾患に対し積極的に対応しています。肺がんをはじめとする肺の腫瘍、縦隔の腫瘍、重症筋無力症、気胸など肺の疾患、漏斗胸など様々な疾患に対して｢同じ効果であれば、患者さまにやさしいものを｣をポリシーとして診断・治療を行っています。肺がんに対し、｢胸腔鏡下肺葉切除術（ＶＡＴＳ）｣という最新の医療技術を採用するなど、肺癌根治手術を胸腔鏡下で行っています。術後の痛みが少なく、切開部もわずかで5～7日で退院可能となります。また、当院は呼吸器センターとして呼吸器外科と呼吸器内科が連携し診療を行っております。

当院は、小中学生の学校保健（肥満、低身長、腎臓疾患、心臓疾患）における異常者の検査、治療に積極的に対応しています。ウイルス性腸炎　26.0%、肺炎、気管支炎、急性細気管支炎　20.2%と上位を占めていますが、下垂体機能低下症、川崎病などの慢性疾患についても治療を行っています。また、低身長に関しては、無料相談会を行っております。

当院は耳鼻咽喉科において、耳・鼻・喉の異常、甲状腺・耳下腺・頸部リンパ節などの頸部の腫瘍や炎症、いびきや睡眠時無呼吸症、めまい、顔面 神経麻痺など積極的に対応しております。電気メスを用いた扁桃腺手術、マイクロデブリッター（副鼻腔鏡）を用いた副鼻腔炎の手術など最先端の器具や手法を取り入れた質の高い手術を提供しております。

当院は産婦人科において、子宮、卵巣の悪性腫瘍及び良性腫瘍、異常妊娠などに積極的に対応しています。中でも女性性器の悪性腫瘍36.7%、良性腫瘍18.7%を占めています。また、悪性腫瘍に関しては、化学療法も行っています。産科治療としては、切迫流産、切迫早産などにも対応しております。

当院は眼科において各種外来手術、白内障手術、緑内障手術、網膜剥離手術、硝子体手術、眼外傷手術に対応しています。 網膜剥離や黄班とは、小さなゴミのようなものが見えたり（飛蚊症）視界の中に閃光のようなものが見えたり（光視症）することがありますが、無症状のこともあります。糖尿病性網膜症は、糖尿病性腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、成人の失明原因の第一位となっています。網膜には動・静脈血管や光、色を感じる神経細胞が多数存在します。網膜の血管は細く、血液中のブドウ糖が過剰な状態（高血糖）が続くと損傷を受け、徐々に血管がつまったり変形したり、出血を起こすようになります。黄班の治療は、レーザーによる網膜光凝固術や網膜冷凍凝固術で網膜剥離への進行が抑えられることもありますが、既に網膜剥離が発生してしまった場合は手術が必要となります。手術は、目の中に細い器具を入れ、目の中から網膜剥離を治療する方法です。

循環器内科で最も多い手術は、虚血性心疾患（狭心症・心筋梗塞）に対する経皮的冠動脈ステント留置術を含む、PCIです。虚血性心疾患に対する血管内治療とは、血管内にカテーテルという細い管を挿入し、血管の内側から狭窄部位を削ったり、拡張したりする手術を指します。
消化器内科で最も多い手術は、胆嚢・胆管結石、胆嚢、肝外胆管の悪性腫瘍に対する内視鏡手術です。胆嚢・胆管結石、胆嚢、肝外胆管の悪性腫瘍に対する治療とは、内視鏡を十二指腸まで挿入し、胆管・膵管の出口にあたる乳頭部にESTナイフを挿入し、高周波（電気メス）を用いて切開し、胆道が閉塞して起こる黄疸を軽減させたり、結石を除去する手術です。

眼科で最も多い手術は、白内障に対する水晶体再建術です。白内障とは、主として加齢によって水晶体が濁り、視力が低下します。早い場合は40歳代から発症し、80歳を過ぎるとほとんどの人に白内障の症状がみられるようになります。白内障に対する手術治療とは、多くの場合局所麻酔により濁った水晶体を超音波で吸引し、人工の眼内レンズを埋め込みます。

2015年度の外科での手術件数のうち悪性腫瘍手術実施割合が37.4%を占めています。当科の大きな特徴は、成人の全消化管疾患（食道から肛門まで）、悪性疾患を中心とした肝臓、胆道、膵臓、乳がんを主体とした乳腺、外傷など広範囲な病態に対し積極的に対応しています。
消化器疾患に関しては、本邦の治療ガイドラインに沿った安全最優先とした腹腔鏡下手術を50%以上に、肝胆膵手術では移植手術以外のすべてを、乳腺疾患は病理医、放射線科、腫瘍内科と共にチーム連携加療を行っています。また、三重県北勢地区のがん診療拠点病院として対象5大がん（胃、大腸、肝臓、乳房、肺）のうち、4大がん（胃、大腸、肝臓、乳房）を腫瘍内科医と共に高度医療の提供が可能となっています。また、高難度手術実績（肝臓がん、膵がん）もあり、これらに対して消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医、消化器病専門医が常勤しています。

2015年度の整形外科での手術件数のうち、外傷に関連した手術が74.7%を占めています。内訳は大腿骨骨折観血的手術84件、人工骨頭挿入術49件、前腕骨折観血的手術45件などが上位を占め、人工関節置換術も股関節と膝関節を合わせて44件ありました。高度に破壊され動揺性をゆうする関節、変形の強い関節などに対しても、積極的に手術を行い、良好な結果を得ています。人工関節手術に際しては自己血輸血を用いており、他人からの輸血を行わずに手術を行っており、輸血後の感染症の予防に努めております。その他のリウマチによる関節変形に対しても関節形成術など多種の手術を取り入れております。

2015年度の泌尿器科での手術件数のうち、膀胱の悪性腫瘍手術が27.3%を占めています。膀胱腫瘍等の診断のための膀胱鏡システムにて鮮明な画像を得られるとともに、がんの早期発見にも繋がります。膀胱腫瘍は手術適応となるケースが多く、尿道から膀胱に内視鏡を挿入し、その先端に付いている電気メスで膀胱内の腫瘍を切除します。その他、膀胱全摘除術＋尿路変更術も行っております。また、腎がんに対しては腎摘除術、腎部分切除術、腎盂尿管腫瘍に対しては腎尿管全摘除術、前立腺がんに対しては前立腺全摘除術、精巣がんに対しては高位精巣摘除術などを、また必要に応じて後腹膜リンパ節廓清術も行っております。経尿道的手術以外は、基本的に開腹手術で行っています。がんに対しては抗がん剤を使用した化学療法も行っています。

2015年度の呼吸器外科での手術件数のうち、悪性腫瘍手術が55.2%を占めています。胸腔鏡下（VATS）という最新の医療技術の採用により、内視鏡や患部摘出に必要な特殊な器具を入れるわずか数cmの切開だけで済むため、痛みも少なく患者さまの負担もかなり軽減されます。さらに、患部摘出の歳に、健康体になったことを考慮して、必要以上に肺葉を切除しない胸腔鏡下区域切除を行うなど、常に｢患者さまにやさしい｣を意識した治療を行っております。肺がんの手術には高度な技術と経験が必要とされるため、呼吸器外科の専門医を揃え万全の体制で患者様を受け入れてます。

脳神経外科で最も多い手術は、｢慢性硬膜下血腫｣に対する手術です。慢性硬膜下血腫は、頭部外傷を負って1～2ヶ月後に、歩行障害や認知症、片麻痺等の症状が起こる病気で、多くが緊急手術を必要とします。治療は、局所麻酔下に穿頭術（頭に穴をあける）を施行し、血腫内容を洗浄除去し血腫腔内にドレーンを残すという手術です。術後は早期に症状が改善し退院となります。また、脳血管疾患の中でも重篤である｢くも膜下出血｣の治療や、そのくも膜下出血を未然に防ぐ予防治療として、脳血管内手術や脳動脈瘤クリッピング術を行っています。くも膜下出血は、頭蓋骨と脳の間にある｢くも膜｣の下に血液が流れ込む病気で、発症すると約3分の1が死に至ると言われています。そのため当院では、脳動脈の一部が膨らんで瘤状になった状態の｢未破裂脳動脈瘤｣に対する予防治療として、脳血管内手術やクリッピング術を積極的に行っています。脳血管内手術は、主に金属コイル、接着剤などを使って脳動脈瘤などの病変部を閉塞し出血を予防する手術です。また、狭くなった血管を拡げて血液の流れを改善させ脳梗塞を防ぐ手術にも用いられます。また、脳動脈瘤頸部クリッピング術は、複雑な形態の脳動脈瘤にも対応が可能であり、瘤の根っこ部分をチタン製のクリップで挟み込み出血を予防する手術です。

耳鼻咽喉科で最も多い手術が扁桃に関わる手術で、全体の24.4%を占めています。電気メスを用いた扁桃腺手術、マイクロデブリッター（副鼻腔鏡）を用いた副鼻腔炎の手術など最先端の器具や手法を取り入れた質の高い手術を提供しております。

2015年度の産婦人科での手術件数のうち、悪性腫瘍手術が26.6%、良性腫瘍手術が46.1%を占めています。子宮頚がんに対して子宮頚部切除術（円錐切除術）を行いますが、子宮頚部をレーザーメスもしくは超音波メスにより円錐状に切除します。子宮体がん、子宮頸がんに対し子宮全摘術を行っています。子宮体がんや子宮頸がんは病巣が子宮体の一部に限られていれば単純子宮全摘術で済むこともありますが、一般的にがんは他の部位へ転移する可能性が高いので子宮以外の膣、卵巣、卵管などの臓器も切除する広汎子宮全摘術が行われます。また、がんに対しては抗がん剤を使用した化学療法も行っています。

神経内科で手術を行うことはほとんどありませんが、脳血管障害により経口接種困難な状態となった患者さまに対し胃瘻（PEG）造設術や中心静脈栄養用植込カテーテル設置を行う場合があります。